当院でできる予防診療

ウイルス感染症

ウイルス感染症の予防にはワクチン接種が有効です。感染力が強く致死的な影響を及ぼしたり、完治しても後遺症が残るような病原性の高い疾病に対する予防効果があるため、定期的に接種することをお勧めします。

混合ワクチン(犬)

たくさんの病気を一度に予防できる

1本の注射で複数の感染症に対する予防効果が得られる多価ワクチンです。
近年はワクチンによって大部分の感染症の広がりを抑えることができるようになっていますが、それでも完全になくなっているわけではなく、地域のワクチン接種率が低下すると今まで予防できていた感染症が再流行する可能性があります。

予防できる感染症
犬ジステンパー、犬アデノウイルス2型感染症、犬伝染性肝炎、犬パラインフルエンザ、犬パルボウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ感染症

接種時期
・1才未満の子犬の場合は、1回目を生後6~8週、2回目を生後9~11週 、3回目を生後12~14週を目安に接種します。
・生後14週以上の場合及び成犬で初めて接種する場合は、1ヶ月間隔で2回接種します。
・初年度以降は最終接種日から年1回ごとに追加接種します。
・体内に残っているワクチンの有効性を調べるための抗体価検査も受け付けております。

狂犬病ワクチン(犬)

接種義務があるワクチン

狂犬病はヒトを含むすべての哺乳類に感染し、発症すると100%死に至ります。狂犬病予防ワクチンは狂犬病予防法によって定められた接種義務のあるワクチンです。

接種時期
・1才未満の子犬の場合は、生後3ヶ月以降で一連の混合ワクチンのあとに接種します。
・初年度以降は毎年4~6月に追加接種します。年度は毎年3月に切り替わります。
犬の登録
ワクチン接種後は所在の市区町村に当院で発行する接種証明書を市区町村に提出し接種した犬の情報を登録をする必要があります。
市区町村への登録は当院にて代行手続きを受け付けております。

混合ワクチン(猫)

基礎免疫力を高める効果もあります

1本の注射で複数の感染症に対する予防効果が得られる多価ワクチンです。犬と同様に健康に重篤な影響を与える感染症の予防効果を期待して接種します。
また、猫はウイルスによる病気にかかりやすい動物です。ワクチンには基礎的な免疫力を高める効果もあるため、室内飼いでよその猫との交流がないような場合でも、このような病気を発症させない、または症状を軽減するために接種することをお勧めしています。

予防できる感染症
猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫氾白血球減少症、猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症

接種時期
・子猫の場合、生後7~8週間で1回目、1回目ワクチンの1ヶ月に2回目を接種します。
・生後2ヶ月齢以上になっている場合は1カ月間隔で2回接種します。
・初年度以降は最終接種日から年1回ごとに追加接種します。
・体内に残っているワクチンの有効性を調べるための抗体価検査も受け付けております。

寄生虫症

フィラリア(犬糸状虫)

蚊から感染する心臓に寄生する虫

蚊の吸血によって感染が広がる 20~30㎝のほどの細長い虫(線虫)で、血液(血管と心臓)の中に入り込んで成長・増殖します。感染初期は無症状ですが、ゆっくりと進行していき心臓機能を低下させる原因になります。寿命を縮める可能性のある病気なので早期に発見することが重要です。
検査方法
採血した血液を直接顕微鏡で見てミクロフィラリア(フィラリアの子虫)がいないか確認する方法と、血液中のフィラリアの検出キット(抗原検査)を使って確認する方法があります。
予防薬
飲み薬、塗り薬、注射など色々なものがあるので、その子の性格や飼育状況に合わせた使い方を提案しています。
予防期間
毎年6月から12月までの予防が必要です。

ノミ・マダニ

動物だけでなく人間の病気の原因にもなる

ノミは動物の激しいかゆみを引き起こす皮膚炎や、腸内に寄生する虫の感染の原因になります。
ダニは皮膚炎のほか、血液を破壊することで貧血を引き起こすバベシア症の原因になります。
飼い主様が被毛の表面や根本に動く虫を発見されて気付かれる場合と、皮膚のかゆみで来院されて病院で虫体が確認される場合があります。
人間に対する影響
ノミ・ダニは人間にも寄生し、さらに各種の病原体を媒介させます。古くからある猫ひっかき病やライム病のほか、近年では38℃以上の発熱や血液の異常を引き起こす重症熱性血小板減少症(SFTS)の感染拡大が問題になっています。
予防薬
飲み薬と塗り薬があります。その子の性格や飼育状況に合わせた使い方を提案しています。

去勢・避妊

早期の去勢と避妊が動物の寿命を延ばします

望まない妊娠、発情行動、性ホルモンに関連した病気の予防のために実施します。
全身麻酔化の手術で、手術は6ヶ月齢から可能です。手術を希望される場合はまず手術前の健康診断(血液検査とレントゲン検査)の予約をしてください。手術前の検査で健康上の問題がないことを確認してから手術を行います。

予防できる病気:去勢
肛門周囲腺腫、会陰ヘルニア、精巣腫瘍、前立腺肥大
予防できる病気:避妊
子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、持続発情、卵巣腫瘍

・発情後1カ月以内での避妊手術は出血の危険性が高くなるため手術を延期する場合があります。
・6カ月齢以降で乳歯が残っている場合は、将来的な歯周病の原因になるため、乳歯の抜歯もおすすめしています。

健康診断について

1年に1度の定期健診をお勧めします

症状がないときでも病気の早期発見を目的とした定期検診をお勧めしています。
特に春から夏にかけてはフィラリア予防や狂犬病ワクチン接種のため来院されることが多いため、『春夏の健康診断キャンペーン』として安価に血液検査、レントゲン検査、超音波検査のサービスを行っています。

年齢別の健康診断・チェックポイント
幼齢期前半:生後4ヶ月まで
 生まれつきの病気がないかの確認、寄生虫の検査、しつけと食事の相談、ワクチン接種の相談
幼齢期後半:生後4ヶ月~1歳
 骨格の問題がないかの確認、消化器と皮膚疾患の確認 、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、尿便検査、心電図検査、避妊去勢手術、マイクロチップ装着、しつけと食事の相談
若齢期~中齢期:1~8歳
 消化器と皮膚疾患の確認、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、尿便検査 、心電図検査 、歯石ケア相談
シニア期:8~10歳以上
 血液検査(シニア期用)、レントゲン検査、超音波検査、尿便検査 、心電図検査 、歯石ケア相談、シニアケア相談

その他

マイクロチップの装着

マイクロチップとは大きさ2×10mmほどの 個体識別が可能な動物用管理医療機器のことです。
不慮の事故でペットが迷子になったり、災害や盗難にあって家族と離れ離れになったとしても、マイクロチップを装着していればペットの身元を確認することができるようになります。
動物愛護法の改正により2022年6月よりペットショップやブリーダーを対象にマイクロチップの装着が義務付けられるようになりました。
マイクロチップは当院で装着を行うことができます。

デンタルケア

犬や猫も人と同じように、歯周病などの歯の病気が起こります。
歯の健康は、全身の状態にも深く関わりあっており、歯周病が他の内臓の病気に影響することがあります。
動物にとって口周りはデリケートな場所です。幼いときから少しずつ口周りを触らせてくれるようにトレーニングしていきましょう。
歯石や口臭があれば段階に合わせた対応をご提案させていただきます。

シニアケア

家族の一員である動物たちと、少しでも長く一緒に過ごせる時間を過ごしていただけるようお手伝いさせて下さい。
老齢期では関節や目の病気のほかに、認知症にともなう夜鳴き(昼夜逆転)などの問題行動や床ずれなど、老齢期特有の病気が起こりやすくなります。
老齢期のケアは症状が重くなる前に対応していくことが大事です。「足が痛そう」 「目が見づらそう」 「徘徊するようになった」などの徴候に気づかれましたらお気軽にご相談ください。